[4] シミュレーションの原理
[1]はじめに で示したように、シミュレーションは艇の長さ方向を100mm単位、沈み方向は10mm単位でメッシュ化し計算する。
4.1 表の構成と計算関係図
上図 艇形状データ@から、底部チューブ・サイドチューブの断面積の表作成した。( 前項 )。
これらは 領域ごとと 沈み量ごとの2次元の表 G である。
これから領域の単位長さ 100mmを掛けると体積となり、 同体積の水の質量を掛け浮力が求まる。EおよびF
両者を合算すると領域ごと、沈み量ごとの艇の浮力が求められ、下図 領域単位浮力の表 Dとなる。
一方、仮定した 沈み量A、傾きBを設定すると、この値に従って艇の領域ごとの沈み量 Cが求まる。
例えば 傾斜が0とは、底面の中央部が水平の状態。
傾斜が正の値なら、前側が上がった状態となり、前側の沈み量は小さく、後部に行くに従い沈み量が増加するという具合である。
全領域の浮力を合算すると 総浮力 J、各領域の浮力を重心と同じ概念で総合すると浮力中心 Lが求まる。
また、搭載条件 Hを設定すると、それら質量と位置により 総質量 K、重心 Mが求まる。
現実には 総浮力Jと総質量K、 浮力中心Lと重心Mが合致するように艇は自然に傾きと沈み量が変化しバランスする。
このシミュレーションでは、 J=K、L=M となるまで 沈み量Aおよび傾きBを手動で設定調整する。
総浮力が総質量より小さければ、沈み量を増加させ、浮力中心が重心より前であれば前が上がりすぎていることを意味するので、傾きの設定を減少させる。
両者は相互に干渉するので、交互に差が最も小さくなるように繰り返しながら収束させる。
両者の差が10mm以下までバランスさせれば充分な誤差範囲以内と考えられる。
このようにして、搭乗者の位置(座席位置)、荷物の位置や重さを変化させながら、その条件での艇の状態を求める。
その結果を100mm単位のメッシュで艇の外形をグラフ化しシミュレーション作画し、
視覚的に理解しやすいようにした。O 実際のグラフは下図。
上記グラフは、シート位置を13cmずつ前後させた3つの状態を色分けして表示している。
この結果を見ると、シートが後ろに従い、前が上がり傾いているのが解るが、さほど安定度に差があるとは見えない。
前方に波があり突入したときの艇が受ける力の考察は次ページ
|
|
|