カヌー科学館

 バンディットの重心・浮力 シミュレーション 

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 [3] 重心と浮力

  3.1 艇のバランスと質量、重心

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  舟に人が乗ると、その重さと 舟の水中に沈んでいる体積と同じ水の重さが浮力となり、質量(重さ)と浮力が釣り合った状態で静止する。
 さらに、舟自体の重さ、人間や荷物などを総合した重心と、舟の各部の浮力を総合した浮力中心が一致した状態でバランスがとれる。

 

 
 
 従来重さ 単位kgやg等で表した 「重量」という言葉は、現在使用されているSI単位系では 「質量」で表現する。
 地球の引力が関係する重さ、重量と、地球各地で微妙に異なる重力加速度を加味するかどうかの厳密さから区別するようになった。

 同じ材質で出来た球の重心は球の中心である。
 異形のものでは、微少な部分のそれぞれの質量と、位置を考慮して重心を求める。
 

 
 
 複数の質量の重心は左式で求められる。
 艇自体の質量、搭乗者、荷物のそれぞれを Wi、
位置 Liから 総合質量と重心位置を求めて艇のバランス状態を計算する
 3.2 艇の浮力の求め方と浮力寄与断面積

 浮力とは、液体中にある物体を上方向に浮き上がらせようとする力を言う。
 浮力の大きさは、液体中にある物体が押しのけた体積の液体の質量となる。
 これは 「 アルキメデスの原理 」と呼ばれ、中学校の理科で習ったことである。

 艇が水中にある体積分の水が浮力となり、搭載されている質量と同じ浮力が働く深さに水中に沈む。
 質量が艇のどの位置にあるかにより重心が変わり、これとバランスするように、前後の傾きが変わる。

 重い人が乗れば深く沈み、後ろに乗れば後ろが沈み前が浮き、前に乗れば前が沈むという実感そのものが
自然現象として現れ、艇の姿勢・状態が決まる。

 このような状態を計算で求め、シミュレーションするために、艇の浮力を求める。
 エクセルの表で、艇の前後方向の位置と水面より沈む量を 領域分割(メッシュ化)し、領域ごとに求める。

 浮力を生ずるのは、底のチューブとサイドチューブ(左右各1本)であり、それぞれを求める

 断面積を求め、前後長さを掛ければ体積となり、浮力を求めることができる。
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 艇チューブの断面は概略左図のようである。
 厳密には楕円の一部の面積をそれぞれ計算する必要があるが 計算が大変煩雑になるので以下のように簡略化する。

 実線の形状に対し、2点鎖線のように簡略化した。

 上下の波状形状は同面積となるように上下それぞれ1.5cm少ない高さの長方形として計算。

 左右の円は同面積となるよう半径の3/4の位置とした。
 これは円とこれに接する正方形の面積比が π/4であるのを四捨五入。

 
 
 サイドチューブは円で水面下の面積 Atは下式で求められる。

hr = Hc − h
   = HH − r − h
θ = acos( hr/r )
S = π r^2 θ / 2π
L = r sin θ
At = S − L hr / 2
  = π r^2 θ / 2π − r sin θ ・ hr / 2
  = π r^2 ・ acos( ( HH − r − h )/r )/ 2π
    − r ・ sin( acos(( HH − r − h )/r)) ・ ( HH − r − h ) / 2

 式はややこしいが、これをエクセルの関数に置き換えると面積Atを計算できる。
 これは円の右半分の面積なので、チューブ1本あたり、2*Atとなる。
 

 
 
 
 3.3 浮力寄与断面積計算結果

 前述の計算方法・式により求めた結果の表は下のようになる。
 横軸は艇の長さ方向、100mm単位での領域ごとの値
 縦軸は、各領域で 10mm単位の沈み量ごとの断面積 : 10mmごとに沈んだときの浮力に寄与する面積
  沈み量 0〜500mmまでを求めた。
  チューブ断面積がある領域をピンクで表示してある。 

 3.3.1 底チューブの断面積

 沈み量 20mmから150mmまでの領域に断面積が存在することが解る。
 底チューブは長さ方向に対し、上面はほぼ直線、下面は底の前後のせり上がりに連れチューブ径が細くなっている。 チューブの厚さは19cmである。





 3.3.2 サイドチューブの断面積

 サイドチューブは前後が弓なりにそり上がっている様子が一目瞭然の結果の表となっている




 以上の形状・断面積データを基にシミュレーションを行った。 

 

 

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