パノラマ科学館 
 デジカメのノイズ
P1 1 デジカメのノイズによる画像の影響
   2 デジカメのノイズはなぜ起こる
P2 3 デジカメノイズの測定法
P3 4 測定結果
P4  5 まとめ
   6 画像のノイズ除去方法
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P5 8 他機種との比較
   9 長時間露光の参考例

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8 他機種との比較

 8.1 カメラ機種・センサ形式一覧


  データのある機種の一覧です。 ( 機種名アルファベット順 )

  データを提供いただいたサイトさんとリンクを掲載させていただいています。
  ご協力ありがとうございました。
機種名
メーカー
センサ形式/サイズ 総画素数/ピクセル/面積*1 備考、 ノイズ除去機能 データ提供サイト
さん
リンク
*istD
Pentax
CCD原色インターライン・インターレース
23.7 ×15.6mm
(APSフィルムサイズとほぼ同等)
631万画素
3008 x 2000
7.8μm角
メニュー設定でノイズ除去on機能
onにすると撮影に露光時間の2倍以上の時間が掛かる
Gallery41
さん
D100
Nikon
CCD原色インターライン・インターレース
23.7 ×15.6mm
(APSフィルムサイズとほぼ同等)
631万画素
3008 x 2000
7.8μm角
メニュー設定でノイズ除去on機能
onにすると撮影に露光時間の2倍以上の時間が掛かる
( 当サイト )
E-10
Olympus
CCD原色インターレース
8.8o×6.6o 2/3型(インチ)
400万画素
2240 x 1680
3.9μm角
無し ( 当サイト )
EOS-10D
Canon
CMOS原色
22.7×15.1mm
650万画素
3072 x 2048
7.4μm角
撮影時自動的に除去処理実行
 *2 
ふもとの我が家
 さん
FinePix-S1Pro
Fujifilm
スーパーCCDハニカム原色
23.3mmx15.6mm
613万画素
(ハニカム処理)
3040 × 2016
7.7μm角
  デジタル楽しみ村
 さん
FinePix-S2Pro
Fujifilm
スーパーCCDハニカム原色
23.3mmx15.6mm
1212万画素
(ハニカム処理)
4256×2848
5.5μm角
ノイズ抑圧回路と信号処理技術でS/Nを改善との記述がある
 *3 
デジタル楽しみ村
 さん
 
*1 ピクセル当たりの面積(一辺)はセンササイズをピクセル数で単純に割った値です。
  周辺回路も含めての数値ですので感光セル自体の面積ではありませんが、ある程度の指標になるかと思い算出しました。

*2 Canon サイトから EOS-10D CMOSセンサの解説

 CMOSセンサは、省電力化や高集積化などの大きなメリットがある一方で、ノイズや画素精度のばらつきなどの課題が指摘されていました。キヤノンでは、さまざまな新技術を取り入れ、これらの課題をクリアしています。まず、各画素ごとのバラツキやノイズを除去するために、「オンチップ・ノイズ除去技術」を導入。あらかじめ読み出しておいたノイズ成分を、最後に減算する回路をセンサーチップに内蔵することで、S/N比の高い信号を読み出すことが可能になりました。さらに、「画素内電荷完全転送技術」により、分子レベルの不規則な揺らぎによるランダム・ノイズも除去しています。

*3 富士フィルムサイト FinePix S2Pro 説明から
専用の抑圧回路でノイズレベルを大幅に抑制。独自の信号処理技術によって、信号レベルとS/N比を大きく改善しました。これらによって、長時間露出や高感度撮影時でも高画質な画像を得ることができます。
S/N = 信号対雑音比


 8.2 機種間ノイズ比較

 先に掲載した手持ちのカメラの他に、他サイト様から提供いただいたデータを掲載させていただいています。


  8.2.1  ノイズの量

   Photoshop の画像の輝度ヒストグラムにより求めた平均値です。  20℃での測定結果

    
  * NR ; Noise Reduction ノイズ除去処理


  8.2.2 ノイズの色合い・分布
 型式/メーカー ノイズのサンプル ヒストグラム ノイズ平均値
参考値 ;
 (ノイズ係数)
*istD
Pentax
20℃ ISO200 120秒


20℃ ISO800 30秒
 
上下左右4隅 全体縮小


25.47

( 1061 )

・ 赤みのノイズが多いが青のドットも散在する
  画像全体で見ると赤紫になる
・ ノイズが多くなると左上に赤いノイズが多い三角の部分が出る
・ Nikon D100 と同じCCDセンサを使用していると言われ、ノイズが増えると左上の赤い部分が同様に出る
D100
 Nikon
20℃ ISO200 120秒


20℃ ISO800 30秒

 上下左右4隅 全体縮小
20℃ ISO200 120秒


15.63

( 651 )

・ 青みのノイズが多いが赤のドットも散在する
  画像全体で見ると青紫になる
・ ノイズが多くなると左上に赤いノイズが多い三角の部分、下に帯状の青が強い部分が出る
・ Pentax *istD と同じCCDセンサを使用していると言われ、ノイズが増えると左上の赤い部分が同様に出る
E-10
 Olympus
20℃ ISO320 30秒

 左上角     全体縮小


33.07

( 3445 )

・ 赤みのノイズが画像全体にほぼ均一に分布
  画像全体で見るとオレンジになる
EOS-10D
 Canon
20℃ ISO1600 120秒

 上下左右4隅 全体縮小

2.81

( 14.6 )

・ 極めてノイズが少ない
・ 発生するノイズは青みがかっている
FinePix-S1Pro
Fujifilm
20℃ ISO800 30秒

 上下左右4隅 全体縮小

0.65

( 27.1 )

・ 極めてノイズが少ない
FinePix-S2Pro
Fujifilm
20℃ ISO1600 120秒

 上下左右4隅 全体縮小

1.57

( 8.2 )

・ 極めてノイズが少ない


  8.2.3 センサの原理の相違による特性の差

    一般的なセンサの特性( 2項 )では、CMOSセンサより CCDセンサの方がノイズが少ないことが一般的に言われていますが、最近の組込製品では逆の傾向があるように感じられます。


 9 長時間露光の参考例

 デジカメのノイズも驚くほど少ない機種があり、長時間露光が可能になってきました。

 素晴らしい撮影例の写真をお借りし、掲載をお許し戴きました。ご協力ありがとうございます。

  

  滝沢林道からの富士山 登山者の明かりと星空  「 ふもとの我が家 」 さん提供
  ISO100 露光8分 F4.0  Canon EOS-10D

  夏の撮影で元画像で多少ノイズが見受けられますが美しい夜景です。
  幅600pixに縮小させていただきました。


  

  丸山林道からの富士山と星空  「 ふもとの我が家 」 さん提供
  ISO100 露光20分 F9.5  Canon EOS-10D  ( 0℃ AM 4:00 )

  デジカメで驚くほどの長時間で星の軌跡が円弧で長く写っています。
  元サイズで見てもほとんどノイズは見あたりません。


 10 ノイズ係数の意味と算出根拠

  一応原理と測定結果から 係数を算出しましたが、実感にそぐわない部分もあります。
  参考までに掲載させていただきますが、ご興味あるかた以外は以下を読みとばしてください。
  今後更に評価方法を検討したいと考えます。

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  10.1 ノイズ係数の意味

    ノイズ係数とは当サイトが独自に求めたカメラ機種間のノイズを比較するための値です。
  
    カメラの仕様と測定条件が異なるデータから、同一条件で撮影した場合の値を累推した値です。

  10.2 ノイズ係数 算出根拠

    このレポートの 4 測定結果で表したように Nikon D100 と Olympus E-10 の測定結果、撮影の公式

    から以下のことが言えます。

  (1) いずれも温度の上昇とともにノイズが増加し温度差 △T 当たりのノイズ上昇値 △Nがほぼ一定

     KT = △N/△T     KT ; ノイズの温度差当たりのノイズ上昇係数  N ; ノイズ値 T ; 温度

  (2) 露光時間 t の増加にほぼ比例してノイズが増加する

     N ∝ Kt * t       Kt ; 露光時間ノイズ係数

  (3) ISO感度に比例してノイズが増加する

     N ∝ Ki * ISO       Ki ; ISO感度ノイズ係数

  (4) ノイズ係数 Kn は、温度 T20℃のノイズ量 N20 を基準にして求める。

    測定時の温度 T、ノイズ N からノイズ量 N20 は

    N20 = N  + (△N/△T) * ( 20 − T )

    測定時の 露光時間 t 、ISOが異なる場合、ノイズ量は(2),(3)で解るよう 露光時間、ISOに比例すること

    からノイズ係数は次式で求めたものとする。

    ただし、比例するとした部分も厳密には非直線性があり、測定条件により値が変わってくるため、機種間

    比較に使用する値は ISO 100、露光時間 30秒に一番近い状況で撮影したノイズ画像により求める。

Kn =

 N20 * 1000000 
  t * ISO

  10.3 ノイズ係数の算出結果 ( 参考値 )
機種

測定条件

測定
ノイズ値
ノイズ係数 備考
温度 ISO 露光時間
Pentax *istD 20℃ 200 30秒 3.81 635  
Nikon D100 20℃ 200 30秒 2.11 352  
Olympus E-10 20℃ 80 30秒 22.59 5875  
Canon EOS-10D 20℃ 100 120秒 0.09 48  
Fujifilm FinePix-S1Pro 20℃ 320 30秒 0.58 60  
Fujifilm FinePix-S2Pro 20℃ 200 120秒 0.08 3.3  



  一応原理と測定結果から 係数を算出しましたが、実感にそぐわない部分もあります。
原因としては、ノイズの輝度から係数を算出しましたが、実際のノイズの目立ちやすさの観点が定量化できず実感と異なる部分があります。
あくまで参考値とさせていただき、今後更に評価方法を追求していきたいと考えます。

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