スイス ハイキングと列車の旅
 
 09 レーティッシュ鉄道 ベルニナ線

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 ベルニナアルプス観光の後下山した駅 ベルニナ・ディアポレッツァ からレーティッシュ鉄道 ベルニナ線に乗車。
 私は本格的な鉄道マニアではないが、興味を持っているので より列車の旅が楽しみだ。

 ユネスコ世界遺産に 「 レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観 」 として登録されている鉄道。
 登録範囲は サンモリッツ駅 - ティラーノ駅間、およびそれらの周辺の景観地域。
 その他翌日乗車するアルブラ線も含まれる。

 ティラノ(429m)からベルニナ峠(2,253m)までの高低差を最急勾配70‰で走行する。
 ラック式を使わない代わりに、オープンループ(ループ)やヘアピンカーブを多用している。 最小曲線半径 45m。

 1906年 ベルニナ鉄道(現・レーティッシュ鉄道ベルニナ線)の工事を開始し、
 ポントレジーナからモルテラッチまでと、ポスキアーヴォからティラノまでが1908年7月に開通、 1910年 全線開通。
 僅か4年で建設が容易でない山岳地帯の区間で全線開通したとは驚きだ。

 サンモリッツからティラノまでの路線長は 60.7km
 標高 サンモリッツ 1,822 〜 オスピツィオ・ベルニナ 2253.2 〜 ティラノ 429.3m と
 南行き方向で 標高差 430m 登り 2200m下る。

 この鉄道を見聞し、 小田原電気鉄道 現 箱根登山鉄道が 箱根の山に鉄道を敷設する計画が持ち上がり、
 1919年に開通した。 
 その縁で、1919年に姉妹鉄道の提携。
 スイス政府観光局の関連記事は [ こちら ]

 途中の 氷河湖ラーゴ・ビアンコ湖畔の オスピツィオ・ベルニナ駅は、粘着式鉄道のヨーロッパの最高地点駅(2253m)。
 ちなみに、日本の最高地点駅は 長野県の小海線野辺山駅 1,345m。
 

 ベルニナアルプス観光の後、ロープウエイ駅から坂を下ると直ぐにベルニナ・ディアポレッツァ駅
 

 レーティシュ鉄道 ベルニナ線に乗車
 

 13:30 乗車
 車両に RhBのロゴと、グラウビュンデン州の公用語であるレト・ロマニシュ語で「Viafier retika」の文字。 「レーティッシュ鉄道」の意味
 

 2等客車は日本と殆ど同じ感じ
 

 花畑の横を走る

 ラーゴ ビァンコ ( 白い湖 ) に出た。
 

 25.20kmの表示。 起点 サンモリッツからの距離か?
 


 13:38  オスピツィオ・ベルニナ駅
 粘着式鉄道のヨーロッパの駅最高地点(2253m)。


 列車待ちの観光客か? 昼からビール?良いな〜!
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 Yahoo地図を見ていて、不思議なことに気が付いた。
 この先、 ループ橋の先までは スイスで、 イタリア内の駅は終点のティラノのみである。

 しかし、地図の駅表記は オスピツィオ・ベルニナ駅から
 イタリア語の Statione FR ・・・ となっている。
 手前のベルニナ・ラガルプまでは
 ドイツ語の Barnhof Rhb ・・・ である。

 レーティッシュ鉄道の略号
   ドイツ語; Rhätische Bahn → RhB
  イタリア語; Ferrovia Retica → FR

 また、駅名もドイツ語由来とイタリア語由来が混在しているように思える。
 

 展望車が連結されている
 

 S字線路の美しさ

 ラーゴ ビァンコは細長い。
 

 ラーゴ ビァンコを抜けた。
 両端は堰堤で堰き止められている。
 分水嶺を越え、下り始めた。


 ラーゴ ビァンコから先は下る一方
 右地図で解るようヘアピンカーブの折り返しの連続で標高を下げていく。 まるで日光いろは坂の感じだ
 


 多くのヘアピンカーブが見られる区間

 13:46  アルプ・グリュム駅  標高 2091m
 ここからポスキアーヴォ駅までに10箇所のヘアピンカーブと勾配で、 直線距離約6km程度で 約1070mも下る。

 アルプ グリュム駅  この駅はドイツ語の名称だ
 その下の3行は、標高を意味する3カ国語
 最初の altezza は イタリア語、 トヨタの車にあるそう。
 ドイツ語 hofe、  英語の altitude はナント 単位が feet だ。 イギリスに失礼ではないか? と思って調べたら 「ヤード・ポンド法」は大英帝国で使われていたのだから当然だった。
 

 石積みの橋と雪除け
 

 石積み橋を振り返る

 車窓から白いベルニナアルプスと一気に流れ落ちる川
 
 

 山の斜面をS字状に等高線に沿って下る。 皆も車窓からの景色に興味津々
 

 低い位置に町並みが見えてきた
 

 鉄橋通過。 下に折り返してきた線路の鉄橋が見える

 急坂の先に駅が見えてきた。
 

 14:28 ポスキアーヴォ駅に到着  標高 973m。
 標高最高地点から 50分で 1300m近く降りてきた。

 何気なく撮影したが、右のポイントはダブル・スリップだ。
 実際の鉄道で見たのは初めてかも。



 車両先頭
 排障器が頑丈だ。
 連結器は見たことがない形だが、どのように繋がっているのか詳細に見るのを忘れた

 美しい朱色だ!
 

 展望車につい目がいってしまう

 ポスキアーヴォ駅 南側
 

 

 しばらく路面電車として走る。
 こんなに長い列車が路上を走るのは見たことがない。
 鉄道用語では併用軌道というようだ。
 

 車が挟まれそう...!驚きの光景

 最も狭いところは車が通れず手前で待っている
 

 美しい青の ポスキアーボ湖

 ブルージオ駅。 この先直ぐにループ橋だ。

 
 反対側の車両のパンタグラフ。 見かけないシューが3本
 

 ループ橋、ブルージオ橋の位置関係地図
 ハイライトのループ橋の位置と、 左右どちらの車窓が見易いかを把握するため、地図を印刷して持参した。



 

 ブルージオ駅を出発すると直ぐ、ループ橋が見えてきた。


 平行して走る道路、かなりの傾斜なのが解る


 いよいよループ橋、ブルージオ橋に差し掛かる


 一周して下を抜ける線路


 いよいよ石積みの橋区間


 後を振り返る


 一周後橋脚の間を抜ける
 

 橋脚通過
 ループ橋部分の半径 50-70m、勾配70パーミル
 10mほど高度を下げる。 石橋の上で高度を下げるループ橋は世界でも珍しいとのこと。

 ループ橋を抜け振り返る
 

 またも路面電車区間。 道路を斜めに横切る。
 踏切のバーは右車線だけに付いている
 

 街の住宅の間をすり抜け、横断歩道を電車が横切る
 何故か可笑しい。

 路面区間から専用線路部分に戻る
 

 15:06 ティラノ駅に到着。 ここはイタリア領内だ。

 ティラノの駅表示
 

 列車の連結部。 ツアーなので歩きながら目測で撮影したのでベストアングルでないが。
 

 ティラノ駅はレーティッシュ鉄道の終点。 イタリアだ。
 

 車止めと連結器が同じ形
 

 ティラノ駅

 ティラノ駅外観。 意外とこぢんまりした駅だ
 

 ティラノ駅 当然ながら表示はイタリア語だ
 駅の表示かと思ったら税関のようだ。
 一時的な入国だったので何もなかったが、入国手続きも駅で行うようだ。
 

 ティラノ駅の 世界遺産表示プレート
 箱根登山鉄道との姉妹鉄道の表示も何処かにあるそうだが、気がつかなかった。
 

 

 左 ; レーティッシュ鉄道、 右 イタリア国鉄。 洗練されたイメージの列車だ
 

 すぐにバスでサンモリッツに戻る

 途中、イタリアからスイスへの検問所。
 速度を落としただけで何もなしに通過
 

 道路通過時 建物の合間から 一瞬ループ橋が見えた
 

 
  レーティッシュ鉄道 ベルニナ線   ベルニナ・ディアヴォレッツァ 〜 イタリア ティラノ 乗車 動画
 * 窓を開けているため 風切り音が入りますが、走行音を残すためそのままの状態としています。

 

 
 ・ 旅行3日目、 今日3つのハイライトの一つ レーテッシュ鉄道に乗車し、1時間半の旅を楽しんだ。
  車両の窓を開けて撮影できるのも嬉しい。 満喫の列車旅だった。
  列車に乗るだけで楽しいのは、皆も同じようで、景色が変わるたびに右左の車窓に移動していた。

 ・ 鉄道が葛折で傾斜に対応するのは今まで見かけたことがないので驚きだった。

 ・ 地元の箱根登山鉄道との姉妹鉄道、事前調査が不十分で しっかり見てこられなかったのが心残り。

 * 1982.1 イタリア トリノに出張し帰国時、 ミラノ空港から飛行機でパリに移動予定だった。
  ミラノ空港に夕方到着すると霧が深く欠航だった。 幸いドイツ支社の担当が同行していたため、
 夕方出発の列車に変更し、翌朝にパリに到着した経験がある。 列車は乗り換え無しの直通だった。

 当時は事情も解らず、夜中に暗い谷間を走る列車と 車掌のような人がスイスの検問に回ってきてチェックを受けた。
 どこの路線を走ったかも不明だが、もしかするとTGVも無かった時代、このベルニナ線を通過したかもしれない。
 ただ、衛星写真で現在のティラノ駅を見ると、イタリア側の路線の線路は接続していない。
 

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