1 ダムと堰
国際大ダム会議による定義では 堤高が5.0m以上かつ貯水容量が300万立方メートル以上の堰堤をダムとしている。 そのうち高さが15m以上をハイダム、それ未満のものをローダムという。
日本の河川法ではダムは ハイダムを指し、これ以外は堰という。
2 用語の定義
大井川 長島ダムの緒言を例として掲載
諸元 [ 単位 ] |
定義 |
長島ダム |
堤高 [m] |
基礎岩盤接地部からのダム堤体の高さ。ダム高とも呼ぶ。 |
109.0 |
堤頂長 [m] |
ダム頂上部の長さ |
308.0 |
総貯水容量 [m³] |
満水時に貯水される量。年月と共に堆積する土砂の容量(堆積容量)も含む。 |
78,000,000 |
利水容量 [m³] |
ダム計画上の水位と容量 |
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有効貯水容量 [m³] |
総貯水容量から堆砂容量と死水容量を差し引いた容量 |
68,000,000 |
貯水率 [%] |
貯水率 = 貯水量 ÷ 利水容量 × 100
有効貯水容量に対する比で表すこともある |
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全流入量 [m³/s] |
1秒間にダムへ流れ込む水量 |
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ダム放流量 [m³/s] |
1秒間にダムのゲートから放流される水量 |
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全放流量 [m³/s] |
1秒間に下流に放流される水量の総和で、ダム放流量と発電や直接取水等の合計 |
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3 放流量の 平方米/s と 毎秒 トン
ダムの放流量を表現するのに 平方米/s と 毎秒 トンのいずれかで表される。
水の体積と重さは 1立方米 当たり 1トンなので、何れも同じ意味である。
4 流量と実際の流れ
川の水の流量は 毎秒何 トンと表されることが多い。
これがどのくらいの水の流れなのかを考える。
例えば 一般的な川の流速 時速 5.4kmだとする。
これを秒速に換算すると 5,400 ÷ 3600 = 1.5 [m/s] となる。
川を一定の幅と深さとして下図の状態の場合
流量を例えば 毎秒6トンとすると
流量 Q = 1秒間に流れる距離 L x 幅 W x 深さ D となり
W x D = Q ÷ L
= 6 ÷ 1.5
= 4 となる。
流れの幅 W を 仮に 10mとすれば
D = 4 ÷ W
= 4 ÷ 10
= 0.4 [m]
すなわち 幅10mの川幅、深さ 40cm、流速 5.4km/h の流量が 毎秒 6トンの流れということになる。
当然断面での流速は一定ではないが およその流量での実際の流れを求めることが出来る。
川幅が2倍の20mだとすると、同様に求めると 深さは 20cmとなる。
5 ダムの貯水容量と放流量
余談だが、 例えば 大井川の 長島ダムの放流量は最低 1〜3トン/秒程度
漕艇に適度な放流量は5〜10 トン程度。
貯水率が大きい状態では 通常の雨で 20〜30トン程度に増える。この状態では水は土色である。
2011年9月4日台風による大雨時に流入量の最大値は 1377トン/秒、
放流量の最大値は 1141トン/秒だった。
( ダウンリバーをする区間、奥泉や千頭以降の場合、長島ダムの下流に大井川ダムがあり、
その放流量の影響が大きいとの情報を Hi-deさんと翼さんに戴いた。
また、DRで、雨の直後には寸又川の流入量の影響も大きいのも実感した )
近年四国の豪雨で下流域の洪水が、ダムの放流制御の不手際だったと問題になったことがある。
これに違和感を感じて当時、以下のような考察を行った。
ダム管理者の味方をするわけではないが、仮に長島ダムの上記台風時の莫大な放流の意味を考えてみた。
ダムは洪水調節のために大きなダム湖に水を溜めることができると考えるのは、当然だし間違いはない。
昔からダムの設置目的の一つは洪水調節であることを唱っている。
仮に上記のように 1秒当たり 1000トンの流入量があった場合、雨の直前にダムが空だったとし
どのくらいでダムが満杯になるかを計算してみる。
長島ダムの有効貯水容量は 68,000,000 立法米と膨大に思える。
上記仮定での満杯になるまでの時間は 68,000,000 / 1,000 = 68,000 [秒]と求まる。(放流無しとして)
すなわち 68,000 / 3,600 = 18.88 [時間] と僅か1日しないうちに満杯になることになる。
従って、長島ダムほどの巨大な容量であっても、豪雨時にはに大量の放流をしなければならないわけである。
このことからすると、ダムの洪水調節機能というのは疑問符が付く。
しかし、ダム管理者からは、こうだったとまともに説明できない歯痒さも理解できる。
それを言ってしまえば、ダムなんて無意味だ議論になりかねない我が国の指向から言いたくても言えないのだろう。
しかし、昨今の豪雨は以前からの降雨より極めて特異に集中して大量の雨が降るような気象状況なのを
憂慮しなければならないのではと感ずる。
単に恨めしく思うのではなく、温暖化による地球の自然現象の異常発生の一部ではないかと。
この時の流入量はおよお2日間 ( 約40時間 )で 流入量は毎秒1200トンで
合計 40 x 1,200 x 3,600 = 172,800,000 トンとになり
有効貯水容量 68,000,000 の 約 2.5倍が流入したことになる。
この状態では ほとんど降った雨の全量を放流せざるを得ないことが納得できる。
よく渇水でニュースになる 四国・吉野川の早明浦ダムの 2013年9月
わずか1日かからずに貯水率30%から満水になっているのが解る。
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