富士川
カヌーツーリング
No.44
鰍沢口 富士橋〜塩之沢 2010.11.11(木)
秋晴れの日、 新艇 バンディット2度目の漕艇。
1度目は多摩川・御岳で1日に4回の沈を経験し、慣れの問題もあるが乗りこなせるか非常に不安が高まっていた。
いろいろ考察し、艇の状態をシミュレーションにより安定度の推定を行った。 その結果を実際に試すのも1つの大きな目的のツーリングとなった。
屏風岩の瀬は迫力あるが、比較的素直で3回目のコース。
沈をしてもセルフレスキューで対応できると判断し決行した。
今までは妻とタンデム。ソロで漕ぐときも妻のサポートがあったが、
今日は初めての完全ソロツーリングだ。
朝5時半に家を出発。本栖湖経由で塩之沢駅へ7時半到着。
車を置き 荷物を背負い列車で鰍沢口へ35分。
富士橋の下から出発し塩之沢にゴールの 22.3km
木々も紅葉しており、気持ちよい楽しいツーリングとなった。
塩之沢駅に荷物を置き、近くの駐車場所に車を回す
駅からゴール地点は間近なので楽だ。
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8時8分発の甲府行き、今日は10分ほど遅延していた
地図には、瀬の位置と難易度を記載しているが、
記憶と撮影した写真によっている。
全ての瀬を網羅できていない可能性、瀬の程度は主観で評価を行ったが、水量等の条件により異なる可能性もある。
あくまで、参考としてご覧下さい。
清水端 -0.91m
およそ30分で鰍沢口(かじかざわぐち)駅到着
塩之沢から8駅、運賃400円
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8:45 鰍沢口駅を出て左に進むと富士川に出る
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駅から5分ほどで県道4号。車は立体交差だが、徒歩では左の坂で直接県道に出られる
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5分ほどで富士川に出る。スタート地点の富士橋だ
今日の荷物は艇のリュックとショルダーバッグ。
およそ17kgなので徒歩で頑張れる。
今日は1人で行動なので荷物姿をオートタイマーで撮影
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富士橋 皆さんこの河原からスタートされるようだが、適地を橋の下流側まで探しに行った
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富士橋 右岸(西側)は国道52号線だが、こちら側は交通量は少ない
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衛星写真で見ていたこれは、階段かと期待をしていたが雨水などの放流路のようだ
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どこにも階段やスロープが無いので、玉石をコンクリートで固めた堤防を降りた。
傾斜はそれほど急でないので苦労はしなかったが、滑りにくい石を探しながら慎重に下った
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下流側 傾斜の堤防からすぐに早い流れ。もう少し探してみた
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9:10 上流側 藪との切れ目が砂が溜まり一番出発しやすそう、ここで準備開始
いろいろ下見をしたので時間がかかってしまった。
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富士橋を眺めながら艇を膨らます。 散歩のおじさんが堤防を降りてきて興味深そうに眺め、いろいろ質問された
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いよいよ準備が整い記念撮影
今回は進水の時より座席位置を13cm前に移動した
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10:00 出発 左の藪との境目からスタートした
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すぐ目の前に富士橋
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富士橋通過
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数百mで、ここを漕ぐときに調べる水位観測所 「清水端」 (しみずばた)
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出発して15分で小さな瀬
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美しい岩の横を通る
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遠くに鹿島橋が見えてきた。紅葉が美しい
鹿島橋手前。思ったより色付いている木が多い
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鹿島橋 橋の先に瀬を感ずる
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鹿島橋 10:30通過 写真を撮りながら進んでいたら、岩に座礁してしまった。
折角なので止まったままパノラマで撮影
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川鵜が驚いて飛び立った。 どこの川にも多い鳥だ
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鹿島橋の先、突き当りの瀬。これまでずっと陽が当たっていたが、東岸の尾根に遮られた
洞門が連続し川面から見ると面白い風景だ。オレンジのガーター橋が何故か美しく見える
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洞門に近づくとこんな感じ
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左岸寄りにはススキの原、光り輝いて美しかった
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西島トンネル北信号下流の瀬 時折このくらいの瀬が現れのんびりさと面白さが交互に楽しめる
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月見橋 上の瀬を下ったあたりから富士山を望めた
10:55 月見橋通過 中央に富士山の頭がはっきり。
月見橋を過ぎると古来からの水防のための聖牛が並んでいた。 甲斐岩間の街を護る施設だ
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聖牛のアップ 木を組んで水の圧力を受ける
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甲斐岩間の堤防だ。流れは左岸に向かう
正面は身延だ
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甲斐岩間の堤防に沿って下る
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現代式の「聖牛」のようだ。峡南橋まで続いている
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11:10 峡南橋通過
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この先小休憩や小さな瀬、紅葉を楽しみながらのんびり下った。
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11:50 富士川橋。 右のレンガ色の建物は身延町役場。
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富士川橋を振り返って眺める。面白い形だ
富士川橋下流の瀬。 迫力ある瀬。波が少し収まったので撮影し、途中で右岸側に寄ることにした
先の中央、流れの中心に2つの岩があるので要注意
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富士川橋下流の瀬 中途で岸に寄り撮影。 中央左の波は一段と大きかった。 ここで下の動画を撮影
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身延町 切石 富士川橋下流の瀬 動画
コントロールのプレイボタンをクリックして下さい
ラストに岩が立ちはだかっています
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富士川橋下流の瀬を通過後振り返る。 瀬のラストで中央に岩があるので注意!
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しばし進むと飯富橋 手前に瀬が。衛星写真で見ると石が多いようだったので注意してコース取り
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飯富橋。流れが岩で区切られているようだ。
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12:20 飯富橋通過 この先からは2回下ったことがあるコースだ。
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飯富橋下にも流れを仕切るような岩の列
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中央に屏風岩と呼ばれる壁。そこにはクライマックスの瀬が!
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前回出発した河原を通過
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屏風岩が迫る
屏風岩の瀬は、衛星写真で見ると2つに分流している。
上陸して様子を見に行く。手前の流れは岩ゴロゴロで流れが少なく下れそうにない。
気持ちを引き締めて屏風岩の瀬 1段目に向かう
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屏風岩の瀬 1段目を下り終え撮影のため中洲に上陸。さすがに迫力のある瀬だった。
初めて瀬を下っている動画を撮影(下)
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屏風岩の瀬 1段目。 この先100mに2段目の瀬がある
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屏風岩の瀬を下る 動画
コントロールのプレイボタンをクリックして下さい
1段目
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2段目
屏風岩の瀬 迫力のある2つの瀬を下り終え昼食
鳥が編隊を組んで飛んでいった
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13:25昼食後出発。間もなく富山橋
ここまで 荷物が多く前後に分割して積んできたが、昼食後は後部にまとめ、前後の重量バランスの差で安定度が変わるかを試したが、多少落ちるもののさほどの差はなかった。
13:30富山橋通過。 このあたりは分流し、丸石も多くコース取りにより座礁多発する
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富山橋の下の落ち込み。テトラもあるので要注意
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富山橋の下の瀬 浅いが写真で見るよりも迫力のある瀬が続く
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長い瀬。この先を左に曲がると右写真
またまた瀬が。けっこうパワーがあって面白い
艇にも慣れたので、右手で撮影、左手でパドルを持ち軽くラダーを入れて下れた
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正面にゴールの塩之沢が見えてきた。
今回は堰に近い側から遡上しなくて済むルートを探す。
左端にあるコンクリート工場を目標に進めば良いことが後に解った
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山肌も紅葉、雲と対比が美しい
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目標のコンクリート工場
左岸に向かって進むとラストの小さな瀬があり楽しむ
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左岸寄りに進み中央の竹林の手前がゴール
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ゴールの竹林が間近
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塩之沢の堰がはっきり見えてきた
14:20 ゴールに到着
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岸に艇を上げ道路まで50mほど運ぶ。
今回は艇も軽く楽だ。
道路端の空き地で撤収作業。着替えをし15:00帰路についた
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今日は沈や、不安定になりあわやということもなく全行程を漕げた。
座席位置を前に移動した効果は絶大だった。これほど違うものかという驚き。
更に座席を前側に移動した状態に座り、安定度を見たが(小さな瀬でのみ)今回以上前に移動しても大きくは改善されないように感じた。
これらはシミュレーションでもそのような結果に計算され、ほぼ実感とも合致していると感じられた。
着替えやバッグなど荷物が多く2つに分け前後に配置することもある程度安定度に効果あったが、
後部のみに置いてもそれほど問題もなかったので、今後は安心して荷物を後ろに置ける。
富士川中流域の区間で、上流には西の白州方面からの釜無川、東の塩山市、山梨市、石和温泉、甲府市を流れる笛吹川が合流した後で 水質は時折臭いがするほどで良いとは言えないが、それを除けば楽しい区間だ。
ノンビリあり、 紅葉あり、 楽しい瀬・パワーのある瀬 いろいろ楽しめる漕艇だった。
帰宅後、座席位置をベルト長さの調節で 更に5cm前に移動。これがベストポジションと思われる。
( 搭乗者重心が前から 142cmの位置 )
[ 艇の安定度シミュレーション ]
バンディットを購入し 最初に多摩川 御岳で下ったとき、艇に慣れないためもあったが、極めて安定性が良くなく
今後この艇で瀬を下れるかと不安になった。
この艇は前が浮き上がるという他サイトの情報もあり、座席位置を前に移動して次回は漕いでみようと思いついた。
[ 海部郡山川町 ]サイトさんからも座席位置を前にし安定度が増したとの情報をいただいた。
そこで、マイクロソフト・エクセルを使用し、艇の安定度をシミュレーションしてみようと考えた。
先ず艇の形状を測定し、搭乗者や荷物、艇の重さと重心位置と、艇の各部の浮力が釣り合う状態を
関数を使用しシミュレーションしてみた。
今回の富士川は、シミュレーション結果と実際の漕艇感覚が合致するかのテストも兼ねていた。
結果は実感と合致することが解り、更にいろいろな状態でシミュレートし改善しようと考えている。
まとまった後に、シミュレーションに関する記事を掲載する。
1 シミュレーションの方式と Excel シートの表構成関連図
2 シミュレーション結果
搭乗者 70kg、荷物 5kg、 艇の質量 10kgで計算し結果の下記グラフは 座席位置3種を重ねて表示している。
サイドチューブの上面、艇の下面、底のチューブ上面 3本の線で表している。
シート初期状態とは、搭乗者の重心が前から 160cmの座席位置の状態を言う。
2.1 静水での艇の状態 シート位置を前後3カ所の比較
静水では多少の沈み、傾斜が異なるが大差はないように見える
2.2 前に30cmの波があり、波と艇の相対速度 6km/hdで突入した状態
波の高さ30cmでは、シート位置初期状態では大きくバウが浮き上がる結果が計算された
バウが浮き上がるのは、前部が水中に没することによる前の浮力増加のみでなく、バウ下面の傾斜に当たる波が底面に及ぼす力により、上方への分力となり、持ち上げる力となる結果である。
2.3 前に50cmの波があり、波と艇の相対速度 6km/hdで突入した状態
更に波の高さ50cmでは搭乗者も水中より浮き上がったウイリー状態の結果となった。
ウイリー状態となると水中に潜っているのが後部のみになり、 横からの波によっても容易に振られるため艇の安定性が落ちる。
シート位置による差も大きく異なり、その結果 艇の安定性が大きく異なる今回の漕艇結果と合致する。
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